エコロジカル

パーマカルチャーセンタージャパン(PCCJ)滞在記① パーマカルチャーってなんだ?

 

エコロジカルな暮らしを考えていると、「パーマカルチャー」という言葉に出会った。そこで、神奈川県藤野町(現相模原市緑区)にある「パーマカルチャーセンタージャパン(PCCJ)という団体を訪問。代表の設楽清和さんにコンタクトを取り、施設内で1週間滞在させてもらった。そこでの経験や感じたことをつづっていこうと思う。

PCCJの母屋

パーマカルチャーとは?

パーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続可能な農業をもとに永続的な文化、すなわち、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法である。(PCCJサイト参照)

もとは、オーストラリアのビル・モリソンとデビット・ホムルグレンが構築した人間にとっての恒久的持続可能な環境デザイン体系のようだ。

設楽さんは分かりやすく、「多種作物栽培による永続的な暮らしのデザイン」と話していた。パーマネント・アグリカルチャー(永続的農法)とパーマネント・カルチャー(永続的暮らし)の意味であり、反対語はモノカルチャー(単一作物栽培)として捉えると分かりやすいとのこと。

なんとこの起源は、100年前の日本にもあったという。作物を育てて収穫し、食べて再び堆肥として田畑に戻す。100年前の日本のパーマネント・アグリカルチャーが時を超えて見直されている。

囲炉裏とお米

パーマカルチャー 3つの行動指針

  • 自然システムの観察
  • 伝統的知恵や文化の活用
  • 科学的有効な適性技術の導入

3つ目の科学的なものとの付き合い方は意外であった。環境に配慮されたものであれば、科学技術を積極的に導入するという柔軟性が素敵だ。

古民家とソーラーパネル

 

持続可能な世界をつくる基本の4つの心構え

  • 自己に対する配慮

人間が正しく身をおき、自由を立派に実践するために自らを知り、形成し、人を駆り立てかねない欲望を自らの中でコントロールすること。

  • 地球に対する配慮

地球は、生命が自らの手でより多くのいのちが生きることができるようにと育んできた。そして、「森」こそが最も豊かないのちに満ちた場。無限とも言える多くの命が助け合いながら育ち、そして、育てていく森を人間が手を添えながら完成させていく事にこそ、地球に対する配慮が存在する。

  • 人に対する配慮

人の基本的な生きるための要求(生理的欲求、精神的欲求、社会的欲求)を満たすばかりではなく、文化の生成に参加し、自然をより豊かにしていくことで、人の最も根本的な要求である自己を超えた存在との一体化を実現し、永遠を実施する機会を保障すること。

  • 余剰物の共有

自然との協働としての生産活動に参加することで、自然から必要を超えた恵みを受け、それらを他の人々と共有することで自分の生活の安定と相互の助け合いによる安心感を得ること。また、人間一人ひとりが持つ独自の才能を自分のためだけでなく、他の人そして、社会のために用いることで、より豊かな社会を築いていくこと。

PCCJサイト参照

パーマカルチャー 10のキーワード

  • 多様性
  • エッジ効果
  • 多機能性
  • 重要機能のバックアップ
  • 小規模集約システム
  • 効率的なエネルギープラン
  • 生物資源の活用
  • つながりの良い配置
  • エネルギー循環
  • 自然遷移の加速

ここまででも、精密に構築された環境デザインであることが伝わってくる。非常に分厚い書籍も出ているので、旅が終わったらぜひ読んでみたい。

書籍紹介

「パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン」

著者:ビル・モリソン 他2名

出版社:農産漁村文化協会

 

僕は、入門編として下記の本に目を通した。

「パーマカルチャー菜園入門」

著者:設楽清和

出版社:家の光協会

インドでのパーマカルチャーの世界大会も行われたそうだ。(私も現在インドのオーロヴィルという地でこの記事を書いている)

パーマカルチャーは、文化を築く一つのきっかけにもなるという。自分の地域には何があり、そこでどのように暮らして生活していくのか。文化とは、日常と生活にしかないものであり、人間と自然との関係であると。そこで、どのように自分自身の文化を築いていくのか。そういうことを考えるきっかけになればいいと設楽さんは言う。

また、パーマカルチャーは自然の仕組み・作物の特徴を深く理解することで、より効率的な手法によって作物が育ちやすい環境を整えている。

パーマカルチャーの手法

  • タイヤを使用したポテトタワー

    苗の成長とともにタイヤを積み上げ、土を入れる(写真はPCCJのものではありません)

  • 微気象

一般の気象とは違って、地形や日当たりその他の条件により、異なる気象を意図的に生み出す。

  • スパイラルハーブガーデン

石をらせん状に積んで様々な微気象を作る。

  • 斜面上に作る蒔小屋(乾燥しやすい)
  • 家禽類を利用した耕作

    家禽類が草を食べ、糞が養分となる(定期的に場所を変える)

  • フローフォーム
  • キーホールガーデン

鍵穴のような形を作ることで、苗を植えたり収穫したりするのが容易になる。また、風で運ばれてきた養分が集積しやすい。

  • 積層マルチ

刈った草や落葉をまくことで養分の多い豊かな土壌が生成される。

  • スウェイル

同じ深さに掘り通された長い溝。地表に降った水を一時せき止めて、ゆっくり浸透される仕組み。

  • アースオーブン
  • 庭のゾーニング

人間と自然の間のバランスや距離を設定する

 

これ以外にも、パーマカルチャーの論理・原則・基本理念など、詳しく知りたい方はパーマカルチャーセンタージャパン(PCCJ)のこちらのサイトへ

年間を通して、パーマカルチャー養成講座もおこなっている。ここから多くの実践者を輩出している。

 

 

パーマカルチャーセンタージャパン(PCCJ)滞在記②へと続く…

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